基本情報のROI・NPV・減価償却|財務計算の解き方

基本情報のROI・NPV・減価償却を学ぶ机上の財務分析イメージ

基本情報技術者試験のストラテジ系では、ROI、NPV、減価償却のような財務計算が出てきます。言葉だけ見ると会計の専門用語に見えますが、試験で問われる範囲はかなりパターン化されています。

特に迷いやすいのは、ROIは利益を投資額で割る、NPVは将来のお金を現在価値に直してから比べる、減価償却は固定資産の価値を年数で分ける、という役割の違いです。どれも「お金を比べる」問題なので、最初は同じように見えてしまいますね。

この記事では、基本情報のROI・NPV・減価償却を、用語の意味、公式、問題文の読み方、ミスしやすい単位までまとめて整理します。公式を暗記するだけでなく、どの数字をどこに入れるかを固定して、本番で手が止まらない状態を目指しましょう。

この記事のポイント
  • ROIは投資額に対する利益の割合
  • NPVは将来の利益を現在価値で比べる方法
  • 減価償却は固定資産の費用を年数で配分する処理
  • 単位、年数、割引率を先に整理すると計算ミスを減らせる
無料

基本情報技術者試験 過去問アプリ

本番形式で繰り返し解ける。スキマ時間に1問から

2,000問以上収録
無料で過去問を解く
目次

基本情報のROI・NPV・減価償却

ROI・NPV・減価償却の違いを整理する図解イメージ

ROIは投資利益率

ROIはReturn On Investmentの略で、日本語では投資利益率と説明されます。基本情報では、投資した金額に対してどれだけ利益が出たかを割合で見る指標、と押さえるのが一番わかりやすいです。式は「利益 ÷ 投資額 × 100」で、答えをパーセントで表す問題がよく出ます。

たとえば、あるシステムに100万円を投資して、複数年の利益合計が130万円なら、ROIは130 ÷ 100 × 100 = 130%です。別の案が200万円の投資で利益合計が220万円なら、ROIは110%になります。利益の絶対額だけなら220万円の案が大きく見えますが、投資効率で見ると130%の案の方が高い、という判断になります。

ここで大事なのは、ROIは「どちらの投資が効率よく利益を生んでいるか」を見る指標だという点です。利益額が大きい案をそのまま選ぶのではなく、投資額で割って割合に直します。基本情報の選択肢では、投資額が案ごとに違うことが多いので、利益合計だけで判断すると引っかかりやすいですね。

項目見るもの試験での判断
ROI投資額に対する利益の割合値が大きい案ほど効率がよい
利益合計得られる利益の総額投資額で割る前の数字
投資額最初にかける費用分母に置いて比較する

ROIは、利益の大きさではなく投資効率を見る指標です。問題文に「ROIで評価する」とあれば、まず各案の利益合計を出し、投資額で割って比べましょう。

NPVは正味現在価値

NPVはNet Present Valueの略で、日本語では正味現在価値と呼ばれます。基本情報で出てくるNPVは、将来得られるお金を「今の価値」に直してから、初期投資額と比べる考え方です。現在の100万円と、数年後にもらえる100万円は同じ金額でも価値が同じとは限らない、という発想が土台になります。

NPVの基本式は「将来キャッシュフローの現在価値合計 – 初期投資額」です。問題文で割引係数や割引率が与えられている場合は、各年のキャッシュフローに割引係数を掛けて現在価値に直します。その合計から投資額を引き、プラスなら投資する価値がある、マイナスなら投資額を回収しきれない可能性が高い、と判断します。

ROIとNPVの違いは、時間の価値を考えるかどうかです。ROIは利益合計を投資額で割るため、年ごとのタイミングまでは細かく見ません。一方、NPVは1年後、2年後、3年後のキャッシュフローをそれぞれ現在価値に換算します。早く回収できる案と、後半に大きく回収できる案を比べるときに、この違いが効いてきます。

  • 将来の収入をそのまま足さず、現在価値に直す
  • 現在価値合計から初期投資額を引く
  • NPVが大きい案ほど投資効果が高い
  • 割引率や割引係数が与えられたら必ず使う

問題文に「割引率は考慮しなくてよい」とある場合はROI寄りの単純比較です。逆に、割引率や現在価値という言葉が出たら、NPVの考え方を疑いましょう。

現在価値と減価償却を時間軸で理解するイメージ

減価償却は費用配分

減価償却は、長く使う固定資産の購入費用を、使う期間に分けて費用として計上する処理です。たとえばサーバや建物、PCのように、購入してすぐ全額を使い切るわけではない資産があります。これらは時間の経過とともに価値が下がるため、その価値の減少分を毎年の費用として配分します。

基本情報でよく見るのは定額法です。定額法では、毎年同じ金額を減価償却費として計上します。残存価額が0円なら、「取得価額 ÷ 耐用年数」で1年分の減価償却費を出せます。残存価額がある場合は、「取得価額 – 残存価額」を耐用年数で割る形になります。

減価償却の問題では、減価償却費だけでなく帳簿価額を問われることもあります。帳簿価額は、取得価額からこれまでの減価償却累計額を引いた金額です。たとえば30万円のPCを4年で定額法により償却するなら、1年分は7.5万円です。3年後の帳簿価額は、30万円 – 7.5万円 × 3年 = 7.5万円になります。

用語意味計算での使い方
取得価額資産を買った金額計算の出発点
耐用年数資産を使う想定年数定額法では分母になる
減価償却費1年ごとに費用化する金額帳簿価額から差し引く
帳簿価額会計上の資産価値売却損益の計算にも使う

減価償却は「お金が毎年出ていく」というより、購入済みの資産価値を年数に分けて費用化する考え方です。この違いを押さえると、キャッシュフロー問題との混同を避けやすくなります。

三つの違いを表で整理

ROI、NPV、減価償却はどれも財務会計に近い用語ですが、見ている対象はかなり違います。ROIは投資効率、NPVは時間価値を考慮した投資価値、減価償却は固定資産の費用配分です。試験では、まず問題文が「投資案の比較」をしているのか、「将来キャッシュフローの現在価値」を見ているのか、「固定資産の帳簿価額」を見ているのかを分けると読みやすくなります。

問題文のキーワードも判断材料になります。「投資利益率」「投資額に対する利益」「ROI」とあればROIです。「割引率」「現在価値」「正味現在価値」とあればNPVです。「取得価額」「耐用年数」「定額法」「帳簿価額」とあれば減価償却です。最初にここを見分けるだけで、使う公式を取り違えるミスはかなり減ります。

また、ROIとNPVはどちらも投資判断に使われますが、ROIは割合、NPVは金額で判断する点も違います。ROIは100%、120%、130%のように比べます。NPVは現在価値に直したうえで、最終的に何円の価値が残るかを見ます。減価償却は投資判断そのものというより、資産を使う期間に費用を配分する会計処理として出題されます。

項目目的よく出る言葉答えの形
ROI投資効率を見る利益、投資額、割合%
NPV現在価値で投資を評価する割引率、現在価値、キャッシュフロー金額
減価償却固定資産の費用を配分する取得価額、耐用年数、定額法費用または帳簿価額

迷ったら、ROIは「割合」、NPVは「現在価値に直した金額」、減価償却は「固定資産の価値の減り方」と言い換えてみてください。言い換えられると、選択肢の読み方も安定します。

出題範囲での位置づけ

ROI、NPV、減価償却は、基本情報技術者試験の中では主にストラテジ系の企業活動、会計・財務、投資評価の周辺で押さえるテーマです。テクノロジ系のようにアルゴリズムを組み立てる問題ではありませんが、用語と式を知らないと選択肢を絞りにくいので、短時間で得点に変えやすい分野でもあります。

IPAの試験要綱・シラバスでは、基本情報技術者試験の出題範囲がシラバスとして整理されています。最新の出題範囲そのものを確認したい場合は、IPAの試験要綱・シラバスも見ておくと安心です。細かい会計実務まで深追いするより、試験で問われる言葉と計算手順に絞って覚えるのが現実的ですね。

既にストラテジ系全体を学び始めている人は、基本情報技術者試験ストラテジ系の攻略法で全体像を見てから、この記事のROI・NPV・減価償却に戻ると位置づけがつかみやすくなります。計算問題全般に苦手意識がある場合は、基本情報技術者試験の計算問題攻略もあわせて確認しておくと、単位変換や問題文の読み方をまとめて復習できます。

深追いしすぎない

会計の実務では細かい論点が多いですが、基本情報ではまず選択肢を選べるレベルが目標です。ROI、NPV、減価償却の役割と代表的な式を優先しましょう。

基本情報の投資評価計算

基本情報の投資評価計算を学習する様子

ROIは利益合計で比べる

ROIの問題を解くときは、まず各投資案の利益を合計します。問題文に1年目、2年目、3年目の利益が並んでいる場合は、いきなり投資額で割らず、先に利益合計を作るのが安全です。合計を出してから投資額で割り、最後に100を掛けてパーセントに直します。

例として、投資案Aは投資額100万円、利益が1年目20万円、2年目30万円、3年目40万円だとします。利益合計は90万円なので、ROIは90 ÷ 100 × 100 = 90%です。投資案Bは投資額200万円、利益が1年目70万円、2年目70万円、3年目70万円なら、利益合計は210万円、ROIは210 ÷ 200 × 100 = 105%です。

この例では、利益合計だけ見ればBの方が大きいですが、ROIでもBが上です。ただし、試験では利益合計が大きい案とROIが高い案がズレるように作られることがあります。投資額が小さい案は、利益額が少なくても割合では高くなることがあるため、必ず分母を投資額にして比較してください。

STEP
利益を合計する

各年の利益、又は投資効果を足して利益合計を出します。

STEP
投資額で割る

利益合計 ÷ 投資額で投資効率を出します。

STEP
100を掛ける

パーセント表示にして、最も大きい案を選びます。

ROIで評価する問題なのに、利益合計だけを見て選ぶのは危険です。投資額が案ごとに違うと、利益額と投資効率の順位が入れ替わることがあります。

NPVは割引後で比べる

NPVの問題では、将来のキャッシュフローを現在価値に直す作業が中心です。問題文に割引係数が表で与えられている場合は、各年のキャッシュフローに対応する割引係数を掛けます。1年目、2年目、3年目で係数が違うので、同じ金額でも後の年ほど現在価値は小さくなるのが一般的です。

たとえば、1年目のキャッシュフローが100万円、割引係数が0.95なら現在価値は95万円です。2年目が100万円で割引係数0.90なら90万円、3年目が100万円で割引係数0.86なら86万円です。現在価値合計は271万円になります。ここから初期投資額が250万円なら、NPVは21万円です。

NPVを比べる問題では、現在価値合計が大きいだけでなく、初期投資額を引いた後の値を見ます。初期投資額が案ごとに違う場合、現在価値合計だけで選ぶと間違えることがあります。ROIと同じように、最後に何を比較するのかを問題文で確認するのが大切です。

キャッシュフロー割引係数現在価値
1年目100万円0.9595万円
2年目100万円0.9090万円
3年目100万円0.8686万円
合計300万円271万円

NPVは「割引後の現在価値合計 – 初期投資額」です。割引係数を掛ける表問題では、年ごとの係数を取り違えないようにしましょう。

減価償却は帳簿価額も見る

減価償却の計算では、最初に1年分の減価償却費を出します。定額法で残存価額が0円なら、取得価額を耐用年数で割るだけです。ここまではシンプルですが、問題では「当期の減価償却費」を聞く場合と、「何年後の帳簿価額」を聞く場合があるので、問われているものを先に確認しましょう。

たとえば、取得価額100万円、耐用年数5年、残存価額0円、定額法なら、1年分の減価償却費は20万円です。2年経過後の帳簿価額は、100万円 – 20万円 × 2年 = 60万円です。3年経過後なら40万円になります。経過年数が1年ずれるだけで選択肢が変わるため、日付や会計期間の読み取りも重要です。

固定資産を売却する問題では、帳簿価額と売却額を比べます。売却額が帳簿価額より低ければ固定資産売却損、高ければ固定資産売却益です。たとえば帳簿価額が60万円の資産を50万円で売ったら、差額10万円が売却損です。ここで取得価額と売却額を直接比べると間違えるので、必ず先に帳簿価額を出します。

  • 当期の減価償却費を聞いているのか確認する
  • 帳簿価額を聞いている場合は累計額を引く
  • 売却損益は帳簿価額と売却額で比べる
  • 経過年数と会計期間を読み間違えない

減価償却は、最初に1年分を出し、それを何年分引くかを決める流れで解くと安定します。問題文の「現在時点」が何年後なのかを丸で囲む感覚で読みましょう。

ミスしやすい単位変換

基本情報の財務計算で多いミスは、公式そのものより単位の読み違いです。問題文では「千円」「万円」「百万円」が混ざることがあります。表の見出しが千円なのに、選択肢が万円で書かれている場合、計算結果をそのまま選ぶと桁がずれます。計算を始める前に、表と選択肢の単位を必ず見比べてください。

割合の扱いも注意点です。ROIをパーセントで答えるなら、最後に100を掛けます。一方で、選択肢が1.2や1.35のような倍率で出ている場合は、100を掛けない形で比べることもあります。変動費率や割引率のように、パーセントを小数に直して使う場面もあるため、%のまま計算式に入れないようにしましょう。

年数の読み違いも落とし穴です。減価償却では「購入から何年経過したか」「会計期間が何年分か」を正しく数える必要があります。NPVでは、1年目のキャッシュフローに1年目の割引係数を掛けます。表の横ずれ、年数の数え間違い、単位の変換ミスは、どれも理解している人でも起こしやすいので、最後の見直しポイントとして固定しておくといいですね。

ミス防ぎ方
桁のずれ千円と万円を混同表と選択肢の単位を先に見る
割合のずれ80%を80のまま使う計算では0.8に直す
年数のずれ2年経過を3年と読む開始日と終了日を確認する
比較対象のずれ利益額だけでROIを選ぶ最後に何を比較するか確認する

財務計算は、途中式が合っていても単位がずれると不正解になります。式を覚えた後は、千円、万円、%、年数の確認をセットにしてください。

基本情報の財務計算まとめ

基本情報のROI・NPV・減価償却は、難しそうな会計用語に見えますが、試験対策としては見分け方と計算順を固定すれば対応しやすい分野です。ROIは利益合計を投資額で割る、NPVは将来キャッシュフローを現在価値に直して初期投資額を引く、減価償却は取得価額を耐用年数で配分して帳簿価額を見る、と整理しておきましょう。

勉強するときは、最初から難しい応用問題に入るより、代表的な式を1つずつ手で解く方が効果的です。ROIなら投資案を2つ比較する問題、NPVなら割引係数を掛ける問題、減価償却なら定額法で帳簿価額を求める問題を、それぞれ数問ずつ解いてください。公式を見ずに途中式を書けるようになれば、本番でもかなり楽になります。

損益分岐点のような別の財務計算も一緒に押さえたい場合は、基本情報の損益分岐点計算も確認しておくと、固定費、変動費、利益の関係までつながります。財務会計の問題は一つひとつは短いですが、用語の区別があいまいだと選択肢で迷いやすいです。今回の三つを土台にして、少しずつ計算パターンを増やしていきましょう。

最終チェック

ROIは割合、NPVは現在価値、減価償却は帳簿価額。この三つを問題文のキーワードで見分けられれば、基本情報の財務計算は得点源にしやすくなります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次