基本情報技術者試験のマネジメント系で、アローダイアグラムやクリティカルパスの問題を見ると手が止まる人は多いです。線と丸が並んでいるだけなのに、どこを足せばいいのか、どの経路が答えなのか、ぱっと判断しにくいですよね。
ただ、基本情報のアローダイアグラムは、解き方を覚えるとかなり安定します。難しい数学ではなく、作業の順番を読み、経路ごとの所要日数を比べる問題だからです。最初に見る場所と計算順序を決めておけば、試験本番でも落ち着いて処理できます。
この記事では、クリティカルパスの意味、最長経路の探し方、合流点の処理、余裕時間の考え方まで、基本情報向けに整理します。プロジェクトマネジメント用語が苦手な人でも、問題文から答えまでつなげられるように進めます。
- アローダイアグラムは作業の順序関係を読む図
- クリティカルパスは全体日数を決める最長経路
- 合流点では大きい方の時刻を採用する
- 余裕時間まで見ると選択肢のミスを減らせる
基本情報のアローダイアグラム基礎

図の意味を先に押さえる
アローダイアグラムは、プロジェクトの作業順序を矢印で表した図です。基本情報ではPERT図として出てくることもありますが、まずは「どの作業が終わると、次の作業を始められるのか」を読む図だと考えれば大丈夫です。丸や節点は作業の区切り、矢印は作業そのもの、矢印の横に書かれた数字は所要日数を表すことが多いですね。
ここで大事なのは、アローダイアグラムをカレンダー表のように眺めないことです。左から右へ進んでいるように見えても、横の位置がそのまま日付を表しているとは限りません。試験で見るべきなのは、矢印のつながりと数字です。どの作業が並行して進められるのか、どの作業が終わらないと次へ進めないのかを読み取ります。
開始点、終了点、分岐している矢印、合流している節点を先に確認すると、経路を書き出しやすくなります。
たとえば開始点から作業Aと作業Bに分かれているなら、その2つは並行できる可能性があります。一方で、作業CがAとBの両方の終了後に始まる形なら、Cはどちらか一方だけが終わっても開始できません。この「待ち合わせ」がアローダイアグラムの計算でよくミスになる部分です。丸をただの通過点として見ず、作業が合流する場所として読むと理解しやすくなります。
基本情報の問題では、複雑なプロジェクト管理理論を深く問うより、図から必要な日数や重要な経路を読み取れるかが中心です。つまり、用語を丸暗記するより「開始から終了までの道筋を全部追えるか」が勝負になります。最初は時間がかかっても、矢印を一つずつたどって経路名と日数を書き出す練習をすると、選択肢を見る前に答えの候補が作れるようになります。
慣れるまでは、節点番号を追うよりも「作業が終わったら次に何が始まるか」を声に出すくらいの感覚で確認すると、図の意味を取り違えにくくなります。
クリティカルパスとは
クリティカルパスとは、開始点から終了点までの複数の経路のうち、合計所要日数が最も長い経路です。日本語では「重要経路」と説明されることもあります。なぜ重要かというと、その経路上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了日も遅れてしまうからです。逆に、クリティカルパスではない経路には、多少の余裕がある場合があります。
たとえば、開始から終了までに「A→C→E」と「B→D→F」という2つの経路があるとします。A→C→Eが12日、B→D→Fが9日なら、プロジェクト全体は12日かかります。9日の経路が早く終わっても、12日の経路が終わらない限り全体は終わりません。この12日の経路がクリティカルパスです。
- 開始点から終了点までつながっている経路を探す
- 各経路の作業日数を合計する
- 合計が最も大きい経路を選ぶ
- その日数がプロジェクト全体の最短完了日数になる
ここで「最短完了日数」と「最長経路」が同時に出てくるので混乱しやすいです。プロジェクト全体としては、並行作業を使ってできるだけ短く終えたいので最短完了日数を求めます。しかし、その最短完了日数を決めているのは、複数経路の中で最も長い経路です。言い換えると、全体を短くするには、一番時間がかかっている経路を短くしないと意味が薄いということですね。
なお、似た分野としてWBS、ガントチャート、EVMなどもあります。プロジェクトマネジメント全体を整理したい場合は、基本情報技術者試験マネジメント系の頻出テーマも合わせて確認すると、アローダイアグラムの位置づけが見えやすくなります。
最長経路で考える理由
アローダイアグラムの問題で「なぜ全部の作業日数を足してはいけないのか」と感じる人もいると思います。理由は、プロジェクトでは複数の作業を同時に進められるからです。開始点から別々の矢印に分かれている作業は、条件を満たせば並行して進められます。だから、全作業を一直線に並べたように合計すると、実際より長い日数になってしまいます。
試験で問われるのは、並行できる作業を考慮したうえで、全体を終えるまでに最低何日必要かです。並行経路がある場合、早く終わる経路は先に終了して待つだけになります。最後まで残るのは、合計日数が最も大きい経路です。このため、クリティカルパスを見つけることが、全体の所要日数を求めることにつながります。
| 経路 | 作業日数の例 | 合計 | 判定 |
|---|---|---|---|
| A→C→E | 3日+4日+5日 | 12日 | 最長経路 |
| B→D→F | 2日+3日+4日 | 9日 | 余裕あり |
| B→G→H | 2日+6日+1日 | 9日 | 余裕あり |
この例では、全作業日数を全部足すと28日になってしまいます。しかし、並行できる作業を同時に進められるなら、全体は12日で終わります。早く終わる9日の経路は、12日の経路が終わるまで待つ形です。したがって、答えは全作業の合計ではなく、開始から終了までの経路ごとの合計のうち最大値になります。
基本情報の選択肢では、全作業を足した数、途中の経路だけを足した数、ダミー作業を誤って足した数などが混ざることがあります。計算そのものは単純でも、どの数字を足すかで差がつく問題です。最長経路で考える理由を理解しておくと、選択肢に惑わされにくくなります。
ダミー作業の扱い方
アローダイアグラムで点線の矢印が出てきたら、ダミー作業を表していることがあります。ダミー作業は、作業の前後関係を示すためだけに置かれる矢印です。実際の作業時間は0日として扱います。ここを普通の作業のように足してしまうと、クリティカルパスの合計日数がずれてしまいます。
ダミー作業が必要になるのは、作業の依存関係を図で正確に表したいときです。たとえば、ある作業はAとBの両方が終わってから始める必要があるけれど、別の作業はAだけが終われば始められる、というケースがあります。この違いを一本の矢印だけで表すと誤解が出るため、0日の矢印を使って前後関係を整理します。
試験本番では、ダミー作業に数字が書かれていない、点線になっている、または説明文で「ダミー」と明示されていることが多いです。見つけたら、まず0日だとメモしておくと安心です。図の見た目が複雑になるほど、点線を普通の作業と同じように目で追ってしまいがちなので、最初に印を付けておくと計算の混乱を防げます。
ダミー作業を無視してよい、という意味ではありません。日数は0日ですが、前後関係としては必ず守る必要があります。
つまり、ダミー作業は足し算からは外すが、経路のつながりとしては見る、という扱いです。この2つを分けて考えると、ダミーが出ても慌てなくなります。基本情報のアローダイアグラムでは、ダミーの有無だけで難易度が一段上がったように見えますが、0日と依存関係の役割を押さえれば処理はシンプルです。
特に、ダミー作業が合流点の直前に置かれている場合は、どの作業の完了を待っているのかを一度言葉に直すと、0日でも無視してはいけない理由が見えやすいです。
科目Aでの出題パターン
基本情報のアローダイアグラムは、主に科目Aのマネジメント系で出やすいテーマです。細かいPMBOKの理論を長文で説明させるより、図を見てプロジェクトの所要日数、クリティカルパス、遅延の影響、余裕時間を選ぶ問題として出題されることが多いですね。問題文が短くても、図から情報を読み取る力が必要になります。
- プロジェクト全体の最短完了日数を求める
- クリティカルパスに該当する作業列を選ぶ
- ある作業が遅れたとき全体に影響するか判断する
- 作業の余裕時間を求める
- ダミー作業を含む図で前後関係を読む
この中で最初に固めたいのは、最短完了日数とクリティカルパスです。余裕時間や遅延影響の問題も、結局は「どの経路が全体日数を決めているか」が分かっていないと解けません。いきなり最早開始時刻や最遅開始時刻に進むより、まずは経路を全部書き出して一番長いものを選ぶ練習から始める方が安定します。
また、基本情報は選択式なので、完璧な作図スキルよりも、選択肢を切るための読み方が重要です。たとえば「全体で何日か」と聞かれているのに、特定の作業だけの日数を選ばないこと。「余裕時間」を聞かれているのに、クリティカルパスの日数を答えないこと。こうした問いの種類を見分けるだけでも、失点をかなり減らせます。
計算問題全般が苦手なら、アローダイアグラムだけを単独で勉強するより、基本情報で出やすい計算の型をまとめて押さえると効率が上がります。関連する考え方は、基本情報技術者試験の計算問題を攻略するコツでも整理しています。
基本情報のアローダイアグラム解き方

経路を全部書き出す
クリティカルパスを求める最初の手順は、開始点から終了点までの経路を全部書き出すことです。ここを飛ばして図の上だけで一番長そうな線を選ぶと、分岐や合流が増えたときに間違えやすくなります。基本情報の問題は制限時間がありますが、経路を書き出す数十秒を惜しまない方が、結果的には早く正確に解けることが多いです。
たとえば開始点からAとBに分かれ、Aの後にC、Bの後にD、最後にEへ合流する図があったとします。この場合、「開始→A→C→E」と「開始→B→D→E」のように、最後までつながる道筋を別々に書きます。作業名が数字で示されている問題でも同じです。節点番号ではなく、矢印として表された作業を追います。
左端や問題文で指定された開始点から、矢印の向きに沿って進みます。
途中で複数の矢印に分かれたら、経路を別々の行に書き出します。
途中で止めず、終了点までつながった経路だけを比較対象にします。
書き出したら、各作業の所要日数を足します。このとき、同じ作業を複数回足していないか、ダミー作業を日数に入れていないかを確認します。合流後の共通作業がある場合は、どの経路にも同じ作業が含まれることがあります。図が複雑なときほど、共通部分を見落として短く計算してしまうので注意が必要です。
過去問演習をするときは、いきなり答えを見るのではなく、まず自分で経路を全部書き出してから解説を確認しましょう。書き出し漏れが多いなら、図を見る順番に問題があります。計算ミスが多いなら、経路は読めているので足し算やダミーの扱いを重点的に直せばいい、というように弱点を分けて確認できます。
合流点は大きい方
アローダイアグラムで最早結合点時刻を求める場合、合流点では大きい方の時刻を採用します。これは、その節点に入ってくるすべての作業が終わらないと、次の作業を始められないからです。早く終わった作業があっても、遅い作業が残っているなら、合流後の作業は待つ必要があります。

たとえば、ある合流点に到着する経路が2つあり、一方は開始から8日、もう一方は開始から11日かかるとします。この合流点から次の作業を始められるのは11日後です。8日で到着した経路は、残り3日待つことになります。したがって、前から計算するときは、合流点に入ってくる候補のうち最大値を採用します。
| 到着経路 | 到着時刻 | 合流点での扱い |
|---|---|---|
| 経路A | 8日 | 待ち時間が発生 |
| 経路B | 11日 | 採用する時刻 |
| 次の作業 | 11日後に開始 | 遅い方に合わせる |
この考え方は、経路ごとに合計してクリティカルパスを選ぶ方法と同じ意味です。経路を書き出す方法では、最後に最大の合計を選びます。最早時刻を節点ごとに求める方法では、途中の合流点ごとに最大値を選びます。見た目は違いますが、どちらも「全体は遅い作業を待つ」という考え方です。
私は、前から計算するときは節点の横に候補を小さく書き、最後に丸で大きい方を囲む方法が分かりやすいと思います。暗算だけで処理すると、途中で「どちらを採用したか」が曖昧になります。特に3本以上が合流する図では、候補を全部見比べて最大値を採る癖をつけておくと安心です。
このルールは、実務の待ち合わせと同じです。全員が集合してから次の作業を始めるなら、先に着いた人ではなく最後に着く人の時刻で予定が決まる、と考えると覚えやすいです。
戻り計算は小さい方
余裕時間まで求める問題では、終了点から逆向きに戻る計算が出てきます。前から進む計算では合流点で大きい方を採用しましたが、後ろから戻る計算では分岐点で小さい方を採用します。ここは混乱しやすいので、「前は大きい、後ろは小さい」とセットで覚えておくと便利です。
後ろから戻る計算は、最遅結合点時刻を求めるために使います。最遅結合点時刻とは、その時刻までにその節点へ到着していれば、プロジェクト全体の完了を遅らせずに済む限界の時刻です。終了点の時刻から作業日数を引きながら、前の節点へ戻っていきます。
後ろから戻るときは「遅れてよい限界」を求めています。複数の候補があるなら、より早い限界、つまり小さい方を採用します。
たとえば、ある節点から先に2つの作業が分かれていて、一方の戻り計算では10日、もう一方では12日という候補が出たとします。この節点は10日までに到着していないと、10日の側の作業に間に合いません。12日まで待ってしまうと、10日の条件に遅れてしまいます。だから、後ろから戻る計算では小さい方を採用します。
基本情報では、最早時刻だけで解ける問題も多いですが、余裕時間を問われる場合は最遅時刻も必要になります。最初は難しく感じても、作業日数を足すか引くか、候補の大きい方か小さい方かを決めるだけです。問題用紙の余白に「前進=大」「後退=小」と書いてから解くと、焦ったときの取り違えを防げます。
戻り計算に慣れないうちは、答えを出す前に「これは開始できる最も早い時刻ではなく、遅れてよい限界を探している」と確認すると、大きい方と小さい方の取り違えを減らせます。
余裕時間でミスを防ぐ
余裕時間とは、その作業がどれだけ遅れてもプロジェクト全体の完了に影響しないかを表す時間です。クリティカルパス上の作業は余裕時間が0です。つまり、その作業が1日遅れると、全体も1日遅れる可能性が高いということですね。反対に、クリティカルパスではない作業には余裕があることがあります。
余裕時間を求める基本は、最遅時刻と最早時刻の差を見ることです。節点の余裕で考える場合は「最遅結合点時刻 – 最早結合点時刻」、作業の余裕で考える場合は作業開始や完了の条件も含めて確認します。基本情報の選択肢では、まず余裕が0の経路を見つけるだけで解ける問題もあります。
| 項目 | 見るポイント | 判断 |
|---|---|---|
| 余裕時間0 | 最早と最遅が同じ | クリティカルになりやすい |
| 余裕時間あり | 最遅の方が大きい | 多少遅れても全体に影響しにくい |
| 遅延影響 | 余裕を超える遅れ | 全体完了が遅れる |
たとえば、ある作業に2日の余裕があるなら、その作業が1日遅れても全体は遅れません。ただし3日遅れると、余裕を1日超えるため、全体に影響する可能性があります。この考え方が分かると、「作業Xが何日遅れるとプロジェクト全体が遅れるか」という問題も読みやすくなります。
ただし、最初から余裕時間の公式だけを暗記しようとするとつらくなります。まずは最長経路を求め、次に合流点の大きい方、戻り計算の小さい方を押さえる。そこまでできてから余裕時間に進むと、公式が「何を比べているのか」まで理解できます。理解がつながると、少し形の違う図が出ても対応しやすいです。
余裕時間の問題は、単純な足し算よりも文章の読み違いで失点しやすいです。「何日遅れるか」「何日まで遅れてよいか」「全体が何日遅れるか」を分けて読むようにしましょう。
基本情報のアローダイアグラムまとめ
基本情報のアローダイアグラムは、見た目ほど難しいテーマではありません。ポイントは、図をきれいに理解しようとすることではなく、開始点から終了点までの経路を漏れなく追うことです。経路を書き出し、所要日数を足し、最も長い経路を選ぶ。この流れだけでも、クリティカルパスを求める基本問題には対応できます。
- アローダイアグラムは作業の前後関係を読む
- クリティカルパスは合計日数が最も長い経路
- 前から計算するときは合流点で大きい方
- 後ろから戻るときは分岐点で小さい方
- ダミー作業は日数0だが依存関係として見る
勉強するときは、最初から難問を解くより、経路が2本から3本くらいのシンプルな問題で手順を固めるのがおすすめです。毎回同じ順番で、経路を書き出す、合計する、最大値を選ぶ、余裕時間を見る、という流れを繰り返します。手順が体に入ると、図が多少複雑でも焦りにくくなります。
また、アローダイアグラムは単発の暗記テーマではなく、プロジェクトマネジメント全体の中にある計算問題です。WBSやガントチャートは作業を見える化する考え方、EVMは進捗とコストを見る考え方、アローダイアグラムは作業順序と所要日数を見る考え方、と整理すると覚えやすいかなと思います。
基本情報の演習量を増やしたい場合は、基本情報の過去問は何年分解くべきかも参考になります。アローダイアグラムは、解説を読むだけより、図を見て自分で手を動かした方が定着しやすい分野です。まずは小さな図で手順を固定し、科目Aの得点源にしていきましょう。


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